本の紹介-福島原発人災記 安全神話を騙った人々 ― 2011年07月04日
福島原発人災記――安全神話を騙った人々 川村湊/著 (著) 現代書館 (2011/4/25)
福島原発事故では、専門家諸氏により、事故を過小評価する言説が広く行われた。このような専門家は、どういう人で、これまで何をしてきた人なのか。本書は、この疑問に答えてくれる内容。
世間一般では、原子力安全委員会委員長の斑目春樹先生が批判されているが、斑目先生が現職についたのは2010年4月で、その前は、鈴木篤之先生が委員長を勤めていた。
鈴木先生が原子力安全委員・委員長を務めたのは2001年からであり、それ以前にも、政府の原子力安全関連委員を歴任している。本書では、特に、鈴木篤之先生を批判しているが、彼こそ、現在の、原子力安全の中心人物だった。
多少、原子力安全にかかわったものとして、本書の主張には、理解できることが多い。鈴木先生にはお世話になったこともあるので、あまり強く批判する主張には、複雑な思いがあるけれど、本書の内容は、国民の立場から見たら、当然の主張だ。
現在、国会では、自民党を中心に、菅おろしが活発である。しかし、菅おろしの面々をみると、原子力村から恩恵をこうむって来た人ではないか。国民の目をくらまして、原子力村を温存するために、菅おろしを強引に進めているようにも見える。もちろん、それだけではないだろうけれど、それにしても、菅おろしの面々は、かつて、危険な原発を安全と言いくるめて、原発を推進し、利益を上げてきていた事実に対して、何の反省も、説明もないのはどうしたことか。
原子力村とは、政界・官界・産業界・学者が電力会社と一体となって、原子力を推し進め、彼らの利益を図ってきた状況を言う。私も、かつて、そういうところから、仕事をもらって、多少の利益を上げてきたのだから、原子力村の関係者だったことになるのだろう。
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