本の紹介-南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々2024年03月16日

 
樋口英明/著『南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々』旬報社 (2023/7)
 
読むことを薦めるわけではない。

 著者は、大飯原発の運転差し止め判決、高浜原発の運転差し止め仮処分決定をした元裁判官。
 本書の内容は、四国電力・伊方原発では、南海トラフ地震が起きても、最大181ガルの地震動しか来ないとの前提で、安全審査がなされているため、現実的でなく、安全とは言えないと説明している。181ガルとは、震度5強程度の為、これよりはるかに大きな地震は珍しくない。著者の指摘が事実ならば、伊方原発の安全審査には由々しき問題があることは明らかだ。
 著者は、元裁判官なので、普通に考えたら、証拠に基づく双方の主張を客観的に分析して、考察しているものと推測する人が多いだろう。しかし、本書P150で「ロシアがザポリージャ原発を攻撃目標とした事実です」と記載している。ザポリージャ原発攻撃に対しては、ロシアによるものとの見解と、ウクライナによるものとの見解があるが、戦争中の情報には、一般に謀略情報が多くて、真偽のほどは確定できないのが現状である。もし仮に、著者が、プーチンやゼレンスキーと頻繁に会合するる特別な外交官ならば、特別な情報チャンネルを持っている可能性もあるが、著者の経歴を見る限りそのような可能性は低い。結局、この部分に関しては、一方の謀略情報を真に受けて、自分に都合よく解釈して、結論をこねくり回しているだけの見解に感じる。
 だとすると、伊方原発の記述も、一方の謀略情報を真に受けて、自分に都合よく解釈している可能性が否定できないように感じる。著者の見解が事実なのかどうか、精査することなしに、本書を信じることは危険であると感じた。

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