本の紹介-<ロシア>が変えた江戸時代2025年04月24日

 
岩﨑奈緒子/著『<ロシア>が変えた江戸時代 世界認識の転換と近代の序章』吉川弘文館 (2024/11)
 
一般向けに書かれた本で、読みやすい。
 幕末期の日本近海には外国船が現れるようになり、海外情勢に対する関心が高まった。これまで、ヨーロッパ船は南かやってきたが、幕末になると、ロシア船が北からやってくるようになり、特にロシアへの関心が高まった。
 本書は主にロシアの来航と、それに対する幕府や市井の学者等の対応・研究などについて、詳しく書かれている。ラクスマン来航とレザノフ来航はともに国交を求めたものなので、幕府にとって極めて重要なことだった。両事件ともに本書ではそれなりに詳しく書かれている。両事件に対する幕府の応対の違いが、その後の日本外交に重要な影響を与えるわけであるが、違った理由の説明が少ないように感じた。もっとも、本書の目的は、ロシア来航やその対応の説明ではなくて、当時の国際情勢の中で、日本がどのように、それらを認識し、対応していったのかにあるのだろう。
 P76にラクスマンとの交渉で、蝦夷地が日本の内国ではないとの扱いをしたと説明している。著者は、この中で、蝦夷地の外部性をロシアに見せてしまった落とし穴であるとしている。しかし、蝦夷地が和人地でなかったことは、幕府にとって自明なことなので、落とし穴ということはないだろう。

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