ブレジネフのダー 日本政府は真実の説明をすべきです ― 2006年04月28日
ここ数日、日韓関係は竹島で揺れていましたが、外交交渉で解決したそうです。
外務省の説明によると、『日本が海洋調査を中止する一方で、韓国側は6月の国際会議への地名変更提案を先送りすることで合意した』とのことですが、韓国側説明では『準備が整えば6月にも提案する』とのことです。日本と韓国の説明が全く異なっています。
1973年10月、モスクワにおいて、田中総理とブレジネフ書記長の会談が行われ、共同声明が出されました。この中に、『双方は第二次世界大戦の時からの未解決の諸問題を解決して・・・』と書かれています。日本では、未解決の諸問題に北方領土問題が含まれることは、田中総理とブレジネフ書記長との間で確認されたと、説明されます。
一般には『ブレジネフのダー』と言います。田中総理が「未解決の諸問題に北方領土問題が含まれるのですね」とブレジネフに問い合わせたところ、ブレジネフは「ダー(そうだ)」と言ったと説明されます。(ブレジネフは黙ってうなずいたと説明されることも有ります。)
事実は次のようになっています。
①日本は『未解決の問題』の文言を入れることを主張したが、北方領土問題が未解決な問題ととられることを嫌ったソ連が拒否。
②このため、会談は1日空転して、共同声明が出せない危機になった。
③双方で妥結が成立した。『未解決の諸問題』の文言を入れること、記者会見は双方独自に行い、互いに、相手の言ったことの対して干渉しないこと。
これだけだと、何のことだかわからないかも知れませんので少し解説します。
日本は北方領土問題が未解決の問題であることをソ連側に認めさせたかったけれど、ソ連はそれを拒否した。これでは会談決裂となり、せっかくソ連訪問を果たした田中角栄に政治的汚点が残ることになってしまう。そこで、共同宣言は、どちらとも取れる表現にして、日本政府は、日本国民向けに、さも、会談の成果が有ったように説明しました。ソ連は、日本政府が日本向けに説明したことに何のコメントもしませんでした。もちろん、ソ連側の説明は、日本の説明とはまったく異なっていました。
事実関係について、どのように理解可能でしょうか。
①日本の政治家は、国民に誠実に説明しているので、この場合も、政府の説明は真実に違いない。
②自分の人気取りのために、国民に虚偽の説明をして、あたかも、成果が有ったように装った。
実際にはどうだったのか、田中ブレジネフ会談の議事録を見れば、ある程度のことがわかるかも知れません。しかし、日本政府は外交秘密を理由に議事録を公開していません。国民に知られると、まずいことが書かれている可能性が有ります。
さて、今回の日韓問題で、日本政府は『韓国側は6月の国際会議への地名変更提案を先送りすることで合意した』と、日本国民に向けて説明しています。何が真実なのか、謎です。
日本政府は、日本国民に、真実を誠実に説明し、情報を開示した方が良いのに。
外務省の説明によると、『日本が海洋調査を中止する一方で、韓国側は6月の国際会議への地名変更提案を先送りすることで合意した』とのことですが、韓国側説明では『準備が整えば6月にも提案する』とのことです。日本と韓国の説明が全く異なっています。
1973年10月、モスクワにおいて、田中総理とブレジネフ書記長の会談が行われ、共同声明が出されました。この中に、『双方は第二次世界大戦の時からの未解決の諸問題を解決して・・・』と書かれています。日本では、未解決の諸問題に北方領土問題が含まれることは、田中総理とブレジネフ書記長との間で確認されたと、説明されます。
一般には『ブレジネフのダー』と言います。田中総理が「未解決の諸問題に北方領土問題が含まれるのですね」とブレジネフに問い合わせたところ、ブレジネフは「ダー(そうだ)」と言ったと説明されます。(ブレジネフは黙ってうなずいたと説明されることも有ります。)
事実は次のようになっています。
①日本は『未解決の問題』の文言を入れることを主張したが、北方領土問題が未解決な問題ととられることを嫌ったソ連が拒否。
②このため、会談は1日空転して、共同声明が出せない危機になった。
③双方で妥結が成立した。『未解決の諸問題』の文言を入れること、記者会見は双方独自に行い、互いに、相手の言ったことの対して干渉しないこと。
これだけだと、何のことだかわからないかも知れませんので少し解説します。
日本は北方領土問題が未解決の問題であることをソ連側に認めさせたかったけれど、ソ連はそれを拒否した。これでは会談決裂となり、せっかくソ連訪問を果たした田中角栄に政治的汚点が残ることになってしまう。そこで、共同宣言は、どちらとも取れる表現にして、日本政府は、日本国民向けに、さも、会談の成果が有ったように説明しました。ソ連は、日本政府が日本向けに説明したことに何のコメントもしませんでした。もちろん、ソ連側の説明は、日本の説明とはまったく異なっていました。
事実関係について、どのように理解可能でしょうか。
①日本の政治家は、国民に誠実に説明しているので、この場合も、政府の説明は真実に違いない。
②自分の人気取りのために、国民に虚偽の説明をして、あたかも、成果が有ったように装った。
実際にはどうだったのか、田中ブレジネフ会談の議事録を見れば、ある程度のことがわかるかも知れません。しかし、日本政府は外交秘密を理由に議事録を公開していません。国民に知られると、まずいことが書かれている可能性が有ります。
さて、今回の日韓問題で、日本政府は『韓国側は6月の国際会議への地名変更提案を先送りすることで合意した』と、日本国民に向けて説明しています。何が真実なのか、謎です。
日本政府は、日本国民に、真実を誠実に説明し、情報を開示した方が良いのに。