本の紹介-ブッダが説いたこと2024年03月27日

 
ワールポラ・ラーフラ/著, 今枝由郎/訳『ブッダが説いたこと 』(岩波文庫) 2016/2
 
元の本は、1950年代に、スリランカの上座部仏教学者がヨーロッパ向けに、釈迦の仏教を説明する目的で、英語で出版されたもの。2016年に、岩波文庫から日本語訳が出版された。
 
 本書の内容は、釈迦の仏教の概要を説明するもので、具体的には、四諦の説明が全体の半分ほど。他に、釈迦の仏教でいうところの無我、および、心の修養の説明がある。四諦とは苦集滅道の4つの教えのことで、本書では『苦』と訳さずに、原語のまま『ドゥッカ』としている。釈迦の仏教の説明書はいくつもあり、多くは四諦に触れられているが、本書は、四諦の説明が詳しく分かりやすい。
 本書は、キリスト教圏の人向けに、仏教とはどのようなものであるかを説明している。日本人は、大乗仏教になじんでいるので、本書を読んだだけでは説明に違和感を覚える人もいるだろう。これは、本書に、仏教史の説明がないためである。本書で解く仏教は、釈迦の仏教に近いものであるが、日本で信仰されている大乗仏教は、後代になって著しく変質を受けたものなので、両者は大きく異なる。

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