本の紹介-スマナサーラ長老が道元禅師を読む ― 2025年07月20日

アルボムッレ・スマナサーラ/著『スマナサーラ長老が道元禅師を読む』佼成出版社 (2024/4)
テーラワーダ仏教(上座部仏教(小乗仏教)のスマナサーラ長老による近著。
道元・正法眼蔵のいくつかの句をもとに、これらを解説している。上座部仏教の目指すものと、道元の目指すものが近いため、道元の解説と同時に、テーラワーダ仏教の考え方の説明になっている。
正法眼蔵のなかでも、現成公案の句に関する説明が多い。
本書の中で、著者は道元の思想を「テーラワーダ仏教の僧侶として道元禅師を見ると、仏道をしっかり歩んでいる偉い先輩のお坊さんとして見えるんですね。(P142)」と高く評価している。上座部仏教と、道元の目指すものが近いだけではなく、心の在り方の理解も近いのだろう。上座部仏教は日本の大乗仏教と比較して、釈迦の仏教に近いと考えられるので、日本の宗教家の中で、道元は釈迦の教えをかなり正しく理解していたと言えるのだろう。