本の紹介-世界史のなかの沖縄返還2025年07月21日

 
成田千尋/著『世界史のなかの沖縄返還』吉川弘文館 (2024/3)
 
 終戦後、アメリカ統治になった沖縄は、今から50年ほど前に、日本に復帰した。本書は、この時の状況を解説する。「日本復帰」の他に、「アメリカ統治の継続」、「琉球独立」、「台湾帰属」、「中国帰属」なども理屈では考えられ、事実そのような主張も終戦初期にはあったが、数年後には、沖縄住民の大多数が日本復帰を希望しており、他の選択肢は事実上困難だった。本書には、「琉球独立」「台湾帰属」論についても、ある程度詳しく書かれている。しかし、これらの論はごく少数者の意見で、国際的にも、日本国内でも、琉球でも、ほとんど顧みられることはなかった。
 琉球の日本復帰は「本土並み返還」といわれたが、復帰後の沖縄米軍基地は、復帰前とあまり変わらず、現在に至るも、米軍基地の多くは沖縄に押し付けられている。
 
 このほか、最初の20ページほどで、中世琉球が日中両属になったことや、明治の琉球処分についても書かれている。この部分は、本書では琉球史知識の確認程度の内容なので、詳しく知りたい人は他書にあたった方が良い。
 
戦後まもなくして、沖縄世論が日本復帰論になる状況について、以下のように説明されている。
 『戦争直後の沖縄では米軍を日本からの解放軍とみるような雰囲気もあり、初期に結成された政党も、沖縄民主同盟と人民党は独立論に近く、沖縄社会党は米国帰属を唱えるというように、日本復帰は掲げていなかった。しかし、中国大陸で一九四六年以降に国共内戦が再発し、米国が支持する国民党側が劣勢となったことなどから、沖縄もその影響を受けていく。その後、米国政府が沖縄の基地開発計画を定め、一九五〇年春から本格的な基地開発を始めると、沖縄でも日本復帰論が力を持つようになったのである。
 また、一九五〇年一月にアチソン米国務長官が国際連合の信託を受けて米国が統治(信託統治)を行うと明らかにしたため、日本で沖縄復帰論を唱えていた沖縄出身者も危機感を強め、沖縄現地の復帰論者に働きかけを行うようになった。
 そして、同年九月の沖縄群島知事選挙で日本復帰論者の平良辰雄が当選し、その支持勢力が復帰を主張する沖縄社会大衆党(以ド、社大党)を一〇月に結成した。その後、人民党が社大党と同じく日本復帰を主張し、平良の対立候補だった松岡政保の支持者を中心とする琉球共和党が沖縄独立、沖縄社会党が米国による信託統治を・王張するというように、日本帰属をめぐって政党の構図も変化した。日本復帰論が優勢となるなか、沖青連も日本復帰を主張する人民党や社大党の活動に積極的に関わっていった。(P132,P133)』

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