本の紹介-原発はなぜ危険か ― 2021年08月12日

田中三彦/著『原発はなぜ危険か』 (1990/1)岩波新書
本書は30年以上前に出版された岩波新書。
著者は、元・原子力発電所設計関連に携わっていた技術者。福島第一発電所四号機の圧力容器には、安全性に問題があることを自身が設計に携わった経験から述べている。四号機圧力容器を作った時、何らかの理由で基準許容量を超える歪みが生じたため、クリープ変形を利用して、歪みを補正した。著者は、歪み補正の手法をコンピュータ解析により求めた技術者だった。
クリープ変形を利用して、変形を補正したのだから、普通に考えれば、強度・特に経年劣化に問題があるはずだが、国は問題なしとした。
福島第一発電所四号機は、東北大震災に伴う事故で、水蒸気爆発を起こし廃炉になった。福島原発事故から10年以上経過した今、この原子炉圧力容器が脆弱でもどうでもよいことだ。しかし、同様の事例は、ほかの原発でもあるかもしれない。そもそも、原子炉内の長期間経年劣化など、十分に解明された技術ではないはずだ。それなのに、政府は老朽化原発の運転期間延長を行っている。
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