トムラウシ遭難考 朝日新聞の記事に疑問2009年07月23日

朝日新聞の記事から
①パーティーのツアー客5人が悪天候や疲労で歩行困難となった山頂付近では同行したガイドらの携帯電話が通じる状態だったにもかかわらず、救助要請がないままツアーが続行されていたことが北海道警への取材でわかった(2009年7月19日)
②凍死したツアー客7人全員が、防寒、防水機能が低いウインドブレーカーなどの軽装だったことが道警への取材でわかった。
18人はみなフリース素材の服の上からカッパやウインドブレーカーなどの上着を着ていたが、死亡した客7人の上着は夏用とみられる生地で、発見時、雨がしみ込み、中がぬれていたという。(2009年7月23日)

①について
 携帯電話が通じる状態だったのかどうか、これは、今回の遭難を考える上できわめて重要なポイントです。東京新聞は「携帯電話は圏外で、救助を求めるには避難小屋まで引き返すか、誰かが下山する必要がある(東京新聞7/21)」と書いており、さらに、毎日新聞の7月23日記事でも、5合目付近の前トム平で携帯電話は通じるようになったと書かれており、こちらも山頂付近では携帯電話は通じなかったように記されています。
 山では、携帯電話が通じないことが多く、通じたとしても、尾根の上に出て、思い切り手を伸ばすと、途切れ途切れに通じることがある場合も珍しくありません。遭難でビバークする場合は、なるべく風が当たらない窪地を選ぶので、そういうところは携帯が通じない可能性が高いものです。

②について
『凍死したツアー客7人全員が、防寒、防水機能が低いウインドブレーカーなどの軽装だったことが道警への取材でわかった』と書かれています。ウインドブレーカーとは、風除けのことで、雨具ではないので、雨はしみこみます。登山ツアーでは雨具を携行することはツアー参加者の義務なのに、一部の不良参加者が、雨具を持っていなかったという意味だろうか。それとも、たいした雨ではなかったので、雨具をつけていなかった登山者がいたとの意味だろうか。もし、雨の中を雨具をつけなかったため、濡れて遭難したのならば、登山者自身の責任は非常に大きいものが有ります。ウインドブレーカーとレインウエアは見た目そっくりなので、雨具のフリをされたら、ガイドが見抜くのは困難です。しかし、大雪山系で、雨具を持たずに登山する人がいるのかなー。ちょっと信じがたいことです。朝日新聞が、いいかげんな事を書いているのではないだろうか。

それから、『発見時、雨がしみ込み、中がぬれていた』ともあります。ウインドブレーカーは、雨がしみ込みますが、今時の登山用品のレインウエアーで、中がぬれるほど、しみこむことはちょっと考えられません。100円ショップで買った、簡易カッパの人がいたのかなー。それはないですよね。死亡して地面に横たわっているときに隙間から水が入り込んで中が濡れたのならば理解できます。

どうも、朝日新聞の記事は、登山の常識と異なり、理解できません。

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