ロシアの密漁取り締まり2006年08月20日

 8月16日、歯舞沖で密漁中していた日本漁船が、ロシア警備隊から銃撃を受け、漁船員1名が死亡する事件がありました。

 ロシア近海では密漁が盛んです。ロシア経済が苦境に立たされていた頃は、警備艇の燃料もままならない状態で、密漁は野放し状態でした。このような状態が続いたら、漁業資源が枯渇してしまいます。幸い、経済の立ち直りにしたがって、密漁を取り締まれるようになってきたようです。

 少し古いのですが、2003年のノーボスチ通信の記事によると、ロシア船と中国船による密漁取締では、航空機による、射撃も行われています。

①2003年7月31日、サハリン北端沿岸水域でパトロール中の警備艇は不審船発見、しかし不審船長は警備艇の呼びかけにも応えず、高速で中立水域への逃走を図った。不審船の捜索には国境警備隊所属の航空機An-72型哨戒機も加わり、約1時間後に同船を発見、停船命令を呼びかけたが、不審船はなおも逃走を継続した。哨戒機は威嚇射撃をした後、照準を合わせ、本格的な射撃を開始した。射撃が開始された後初めて密漁トロール船は停船した。不審船は、ロシア船籍の密漁トロール船「グラント」号で、乗組員のうち3名が負傷した。

②2003年8月19日夜、太平洋で操業中だった中国の密漁船に対し、ロシア国境警備隊の航空機が威嚇射撃をおこなった。
 ロシア領海内の太平洋で操業中だった中国漁船には、何の認識票もなく、船尾にも国旗が掲げられていなかった。パトロール中の国境警備艇に気がついた同密漁船は、高速で逃亡を図ろうとし、また同船の船長は警備艇が発する国際信号にも応答しなかった。長時間の追跡劇の後、An-72型哨戒機が飛来し警備艇を支援。密漁船がようやく停船したのは、威嚇射撃を受けたあとのことだった。

産経新聞の用語2006年08月20日

解放・釈放:

 歯舞沖で密漁船が拿捕された事件で、逮捕された乗組員は、まだ釈放されていません。

 ニュースを見ていると「釈放」ではなくて、「解放」と言っているようです。
 朝日新聞や読売新聞、NHK、テレビ朝日等、主要新聞や、主要テレビニュースでは、すべて、「解放」としています。 
 こうした中、産経新聞は「船長ら釈放1カ月以上先か」と「釈放」の用語を使っています。山中政務官は19日午後根室での記者会見で、「現地レベルでは、決められないことと、船体の検査が終わらないと釈放できないと説明された」と、ロシア側説明を引用する形で、「釈放」の用語を使用しています。

 歯舞沖でのロシアの警察権限が正当なものならば「釈放」の用語を使うべきでしょう。もし、正当と認められないのならば「解放」になるでしょう。このため、日本のマスコミが「解放」の用語を使うことは理解できます。山中政務官の発言は微妙です。
 なぜ、産経新聞は「釈放」と書いているのでしょう。

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