本の紹介-教科書が教えてくれない日本の領土の歴史 ― 2012年12月22日

『教科書が教えてくれない日本の領土の歴史』歴史探訪シリーズ (2012.10) 晋遊舎
多くの人には、特にお勧めしない本。勉強嫌いで、活字が苦手な人が、昨今の領土問題を理解しようと、一念発起して、本を読もうとした場合には、ふさわしい本かもしれない。
本は大判で写真が多用されており、活字が苦手な人にも、抵抗なく読めるように配慮されている。本の題名「教科書が教えてくれない」からも、この本は、自分で勉強することが苦手な階層をねらって書かれたものだと分かる。
本の前半は、日本の領土問題-尖閣・北方領土・竹島・南鳥島-の説明。後半は、日本の領土拡大の歴史、特に、明治以降、日本の領土がどのように拡大したか、の説明。
領土問題や、日本史の全貌を明らかにするものではなく、領土問題については、日本政府の主張を説明する内容であるので、領土問題のニュース報道を聞いても、内容が良く理解できない人には、大いに参考になるだろう。より深い理解を求める者は、本書では不足。
本の紹介-日本の領土 これが答えだ! ― 2012年12月22日

それで、どうする! 日本の領土 これが答えだ! (2時間でいまがわかる!)
小川和久/著 (2012/11)アスコム
読むことをお勧めしない本。
ただし、領土問題・政治問題にまったく無知で、さらに、社会的に落ちこぼれて、引きこもり・ニート状態になった人が、「日本は世界に冠たる強大国である」と妄想して、自分の境遇をしばし忘却するためには、最適な本かもしれない。
日本の領土問題-尖閣・北方領土・竹島-の解説本であるが、領土問題や歴史的経緯よりも、現状と対処案の説明に主眼が置かれている。
内容は、領土問題については、日本の主張を繰り返すもので、ニュース報道以上のより深い理解を求めている者にとっては、物足りないだろう。ただし、この部分は、特に大幅に間違った、いい加減なことが書かれている分けではなくて、著者が、一定の勉強はしているのだろうことは推察できる。
領土問題の対処案は、ちょっと笑える。北方領土問題では、メドベージェフの国後島訪問を批判するくだりで、自衛隊を北方領土のぎりぎりのところで演習させれば、視察をためらうかもしれない、などと書いている。また、南樺太と全千島を要求すれば、4島返還の可能性が出てくると書いている。このような議論は、子供の喧嘩の口上ならばともかく、現実政治では、話にならない。弱い軍隊が脅威ではないことは明らかで、ロシアにとって、日本の自衛隊は、まったくの脅威になっていない。弱い軍隊に頼って、領土要求しても、良いことは一つもない。