本の紹介-「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実2014年08月18日

 
『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』吉見義明/著、川田文子/著  大月書店 (1997/07)
    
 1990年代に従軍慰安婦問題が脚光を浴びると、いろいろな研究や報道がなされた。こうした中、日本政府の調査結果が項の談話として公表され、軍が直接少女狩りをしたような証拠はないこと、および、日本軍が望まない性行為を朝鮮人女性に強制したことが確認された。
    
 本書は、1997年に出版された本で、おもに1990年代に伝えられた従軍慰安婦に関する言説の信憑性を検証している。本書は100ページに満たない本であり、検討項目も30項目と、あまり多いとはいえないが、朝鮮人女性の従軍慰安婦問題を的確に説明している。読みやすい本であるので、従軍慰安婦問題に多少でも関心のある人には、一読の価値がある本だ。
 本書で明らかにされていることは、河野談話と大きな違いは無いが、ニュアンス的には、河野談話よりも、日本軍の行為に対して批判的。
   
 8月5日、6日の朝日新聞では、従軍慰安婦問題の特集があった。このなかで、済州島などで戦時中に朝鮮人女性を慰安婦にするために軍令で強制連行をしたと告白証言について、事実ではなかったとの記事があった。この問題は、本書でも、すでに明らかにされており、河野談話でも不採用になった証言なので、現在では、従軍慰安婦問題解明に、まったく意味を持っていないだろう。
 ところが、一部大手新聞や、右翼勢力を中心に、この問題を取り上げて、あたかも従軍慰安婦問題が史実でないかのような、宣伝が為されている。このような、一部勢力は、従軍慰安婦問題で強制連行の有無を問題にしているが、そんなことどうでもよいではないか。
 日本の刑法では、暴行、脅迫、心神喪失、抗拒不能に乗じた性行為を強姦・準強姦として、禁止している。強姦場所への移送方法は、問題ではない。
 従軍慰安婦問題は、望まない性交をを強いたかどうかが問題だ。朝鮮人女性の移送問題ではなくて、日本軍人と朝鮮人女性との性行為の問題だ。

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