本の紹介-ロシアとユダヤ人 苦悩の歴史と現在2015年02月04日


高尾千津子/著『ロシアとユダヤ人 苦悩の歴史と現在』 (2014/05)東洋書店 (ユーラシアブックレット)

 ロシア革命以前、世界で一番ユダヤ人が数んでいたのが、ロシア帝国だった。その数、およそ500万人。しかし、ロシア革命の混乱期に、帝政擁護派によるユダヤ人弾圧(ポグロム)があり、西側・アメリカ・パレスチナに出国した者も多かった。レーニンはユダヤ人ではないが、ボリシェビキ幹部にはユダヤ系の人が多かったので、帝政擁護派から、革命はユダヤの陰謀であるとの宣伝が為されたためである。
 第2次世界大戦で、ソ連西部がナチスドイツに占領されると、多くのユダヤ人がホロコーストの犠牲になった。また、ソ連崩壊後は、海外移住する者も多く、ロシア国内のユダヤ人はさらに数を減らし、現在では、帝政ロシア期の1/10にも満たなくなった。

 本書はロシア帝政期から現在にいたるロシアにおけるユダヤ人の状況を時代を追って書いている。ブックレットのためページ数は少なく詳細な内容があるわけではないが、逆にいえば、コンパクトにまとめられていて読みやすい。
 本書のタイトルは「ロシアとユダヤ人」であるが、内容は「ロシアのユダヤ人」と思ったほうがよいかもしれない。

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