本-歴史認識とは何か ― 2015年11月10日

細谷雄一/著『歴史認識とは何か 日露戦争からアジア太平洋戦争まで』 新潮選書(2015.7)
正直言って、あまり興味が持てなかった。
日本の高校教育では、日本史と世界史が分離しているため、高校生諸君は日本の歴史を学ぶときに世界史的視点を見失いがちであるとの認識の下、日露戦争以降敗戦までの日本の歴史を、世界の動きと合わせながら記述している。
著者が言うように、高校で習う世界史と日本史とは分離されているため、両者を統合するような教え方が十分になされていないことは事実かもしれない。しかし、上位大学を受験する生徒は、世界史的視点で日本史を理解しないとならないような出題もあるので、このような視点で勉強している受験生も多いだろう。別の教科として習ったから、それが頭の中で統合できないようでは困る。
ただし、それほど上位大学を受験しない高校生が国際関係の中で日本近現代史を理解するために、本書のような試みには、一定の評価できるだろう。しかし、本書の記述内容は、政治・外交に主眼が置かれていて、経済・社会の視点が少ないので、本書を読んでも、日本現代史の理解は皮相的にしかならないように感じる。