本の紹介ー日中アヘン戦争2018年07月28日

    
江口圭一/編『証言 日中アヘン戦争』岩波ブックレット(1991/8)
   
 戦時中の日本は侵略した中国で阿片密売を行い利益を上げていた。国家ぐるみの麻薬犯罪であったが、終戦と同時に証拠書類を焼却処分したこともあり、阿片密売の実態は必ずしも明らかではなかった。編者の江口圭一は個人の手に残された日本の内部文書を発見して、日本政府の阿片密売の実態を解明した。1988年には岩波新書から『日中アヘン戦争』のタイトルで出版した。
 本書は、日本政府の阿片栽培・流通に実際に携わった、及川勝三・丹羽郁也両氏との対談をまとめたもの。関係者の証言なので、日本政府の麻薬政策の全体像を明らかにするものではないが、及川・丹羽両名ともに、話の内容が具体的かつ詳細なので、この問題を理解するためには、欠かせない著書と言えるだろう。

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