本の紹介―大坂の町人学者富永仲基2018年10月31日

内藤湖南/著『大坂の町人学者富永仲基』 Kindle版
  
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 著者の内藤湖南は明治から昭和初期の東洋史学者。京都帝大教授を務める。
本書は、内藤湖南が江戸時代中期の町人学者・富永仲基の業績を紹介する講演会の記録。
  
 日本に仏教が伝えられてから、すべての経は釈迦によって解かれたとされていた。これに対して、富永仲基は、経典の全てが釈迦が説いたのではなく、異なる教えがそれ以前のものの上に付加されていったと主張した。これを加上説と言う。富永仲基は大乗非仏説(大乗仏教は釈迦が説いた教えではない)を主張した日本最初の学者だったが、この説は当時の仏教界には受け入れられることはなかった。明治になって、西洋の仏教に対する歴史研究の成果が輸入されると、大乗非仏説は歴史学上の定説となった。
  
 本書では、富永仲基がこのような考えに至った論理的な研究方法を高く評価している。

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