本の紹介―文化財返還問題を考える2019年12月19日

 
五十嵐彰/著『文化財返還問題を考える 負の遺産を清算するために』(2019/11)岩波ブックレット
 
 日本が朝鮮半島や満州を占領していた時代に、当地の文化財を入手し、日本の所有物としたものは多い。入手は日本が現地で施行した法律に則っていることが多いだろうが、実際には略奪・強奪に近いものも多かっただろう。このような文化財問題は、何も日本に限ったわけではなく、植民地支配が長かったイギリスの方が、問題はより深刻だ。
 
 本書は、日本が朝鮮半島などを支配していた時期に不正に入手した文化財の返還を主張するもの。
 
 日本が入手した文化財のうち、日本の裁判制度で不正入手が認定されるような証拠を韓国などが提出することは不可能だろう。だからと言って、今の感覚で正当に入手したといえないものは多い。過去の清算の意味で、日本の責任において返還すればいいと思うのだけれど、日本人は欲が深いので、外圧がなければ、こんなことは不可能だろう。

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