『北方領土 特命交渉』 を読む2006年12月04日


鈴木宗男・佐藤優/共著 『北方領土 特命交渉』 講談社

 昨日は、この本を読みました。以前から読みたいと思っていたのですが、図書館の予約待ちで、今まで読むことができませんでした。そのぐらい、自分で買えって、言わないでください。本を買うと置き場が無くて困るので、本は、なるべく買わないようにしています。
 政府から離れて、批判する立場になると、本音で物を書くんですね。面白い本です。政治家の本としては、事実を正確に書こうとしている点にも好感が持てます。まだ、お読みになっていない人は、一読の価値があります。

 同書の中で、政府の機関である『北方領土対策本部』『北対協』のみならず、民間組織である『北方同盟』『北連協』も、北方領土問題解決を妨げる勢力として批判しています。本の中では、『千島連盟』を批判してはいませんが、鈴木宗男氏が千島連盟よりということもなさそうなので、結局、鈴木宗男氏は、北方領土返還運動団体のほとんどすべてと、対立関係にあるようです。

 鈴木宗男氏は、北方領土返還運動関係者の中で、特に、北連協の児玉泰子事務局長と、青山学院大学の袴田茂樹教授を激しく批判しています。民間運動団体の事務局長や学者が政治家に激しく批判されるというのも不思議なことです。児玉泰子氏や袴田茂樹氏は、北方領土返還運動の利権に、よほど深く絡んでいるのでしょうか。
 北方領土は日ソ国交回復から50年たっても全く進展が有りません。その間、返還運動には毎年多額の国費が投入されています。北対協だけでも、年間10億円を超えているとか。もし、北方領土問題が解決したら、これらの運動に絡んで利権に預かっていた人たちは、とたんに失業してしまう。北方領土問題が全く進展しない最大の理由は、北方領土返還運動の利権に有るように思えてなりません。

 鈴木宗男氏は北方領土問題の現実的解決を目指しています。これは、考えてみればあたりまえのことです。北方領土問題が全く進展しないことで、一番不利益を受けているのは根室の漁民でしょう。鈴木宗男氏は彼らの支持で国会に当選しているのだから、根室の漁民に報いることをしなかったら、彼の政治生命は終わりです。
 鈴木氏と、児玉・袴田両氏の対立は、北方領土問題が進展すると利益を得る人と、膠着していると利益を得る人の立場の違いのように思えます。

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