本の紹介-アルメニア人ジェノサイド2010年01月07日

アルメニア人ジェノサイド 民族4000年の歴史と文化 中島偉晴/著 明石書店(2007.4.11)

 19世紀、アルメニア人の居住地はトルコ東部の西アルメニアとロシア領内の東アルメニアに分かれていた。『アルメニア人ジェノサイド』とは、第1次世界大戦前後に、トルコにより行われたトルコ領内のアルメニア人の大量虐殺のこと。ヒットラーにユダヤ人殲滅のヒントを与えた可能性がある。

 この本は、古代から第1次世界大戦期までのアルメニアの歴史、大量虐殺の実体、大量虐殺の原因が詳述されている。文献の記載も詳しく、この問題の優れた解説書。

 現在、トルコ政府は、ジェノサイドの事実を認めず、トルコ国内で政府と異なる見解を表明すると、国家侮辱罪により弾圧されることがある。日本でも、親トルコ派の人たちの中には、アルメニアの主張・トルコの主張と、主張だけが問題であるかのような宣伝をする人が有る。しかし、アルメニア人ジェノサイドは、史実を正確に解明することが必要であり、史実の研究と、主張とは異なる。
 この本は、主張することではなくて、史実の解明に主眼が置かれており、親トルコの人にも、親アルメニアの人にも、等しく読んで欲しい。

なお、アルメニア人ジェノサイドについては、以下の書籍も参考になる。
・悲劇のアルメニア 藤野幸雄/著 (新潮選書)
・アルメニア ジャン・ピエール・アレム/著, 藤野幸雄/訳 (文庫クセジュ 新書)
・新アルメニア史―人類の再生と滅亡の地 佐藤信夫/著 (泰流選書)
・閃光のアルメニア―ナゴルノ・カラバフはどこへ 中島偉晴/著(神保出版会)

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