本の紹介 23分間の奇跡 ― 2013年07月01日

「23分間の奇跡」の青島幸男の翻訳を読みました。
「教育とは何か」を考えさせる短編小説。戦争に敗れた国の小学校に新任教師がやってきて、23分間で児童たちの考えを変えてしまう過程を描いている。
児童の心理を巧みについて、洗脳していく過程を描き、暴力や情報遮断を使わずに、自由選択の中で洗脳が行われることを示したものと捉える人が多いのだろう。でもね、私には、そうは思えないのです。これまで教育されていなかった児童に、適切な手段で教育すれば、容易に児童たちの考え方を変えることができることを示しているのではないかと思えるのです。意味も教えずに呪文のように国旗に忠誠を誓わせる言葉を唱えさせる行為は、まともな教育ではないので、それをやめさせることは簡単。
しかりつけたり、小遣いをやるなどして教え込むよりも、目に見える形で提示して納得させたほうが、まともな子供には教育効果が高い。この短編小説の示していることは、そういうことだと感じた。作者の意図は違うのかもしれないが。