本の紹介 - アイヌの沈黙交易 ― 2013年08月28日
『アイヌの沈黙交易 奇習をめぐる北東アジアと日本』瀬川拓郎/著 新典社 (2013/5)(新典社新書61)
同じ著者の『コロポックルとはだれか 中世の千島列島とアイヌ伝説』の関連図書。
千島アイヌと、北海道アイヌとの間に行われていた交易は『沈黙交易』だった。本書では、沈黙交易がどのようなものだったか、なぜ、このような交易形態になったのか、その背後にある、穢れ祓いの説明がなされている。
千島はロシア領になったり、日本領になったりと、そこに住むアイヌを無視する形で領有関係が変化した。そうしたなかで、千島アイヌは滅んでしまった。千島アイヌに思いを馳せると、北方領土の領有権争いが、「さもしいこと」に感じる。