本の紹介-「科学の目」で日本の戦争を考える2015年07月09日


不破哲三/著『「科学の目」で日本の戦争を考える』 (2015.3) 新日本出版社

 満州事変から太平洋戦争にいたる日本の戦争の特徴を明らかにした本。共産党赤旗祭りの講演を元にしているので、わかりやすい記述になっている。
 最初に、この戦争は侵略戦争であったことを説明し、次に、どのように戦争・敗戦へと突き進んだかを説明している。かつて、著者が国会質問で、真珠湾攻撃はだれの責任で行われたかを政府に問うた時、政府は全国務大臣の輔弼によって行われたと答弁したそうである。当時、統帥は国務と独立していたので、内閣は真珠湾攻撃決定に参加することはなかった。戦後、自民党政権による、戦争認識はいい加減なものであることが良く分かる。

 ところで、本書を読むと、戦争へのめりこんだ経緯として、大本営・天皇の問題であることが分かる。ではなぜ、このような誤りを犯したのかという点については、孫崎享/著「日米開戦の正体」に詳しい。

   本書では、戦争の経緯の説明に続いて、日本軍人戦死者の多くが餓死であったことを明らかにし、それは国民の生命軽視・補給軽視の日本軍にあったこと説明している。
 現在、安倍内閣により、憲法無視の集団自衛法案が審議中である。この法案の危険性を考える上で、過去、日本の犯した誤りの検証は意義のあることだ。本書は、この点で参考になるだろう。特に、孫崎氏の本と合わせて読むと、戦争にのめりこんでいった日本の問題点が、一層、理解しやすい。

 最後に、「靖国史観とアメリカ」のタイトルで、小泉総理靖国参拝の問題点を指摘した著者の論文を掲載しており、安倍内閣の右傾化の危険性を考える上で参考になる。

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