本の紹介ー宗教消滅 ― 2018年10月29日
島田裕巳/著『宗教消滅 資本主義は宗教と心中する』SBクリエイティブ (2016/2)
資本主義社会の中で宗教が消滅すると説く本。
近年の日本の新興宗教をみると、創価学会・成長の家など軒並み信者数を減らしている。これらの新興宗教は高度経済成長の社会変化に従って信者を獲得したのだから当然の現象ではある。さらに、バブルの崩壊時期に信者数を増やした宗教もあるが、これらも、信者数を減らしている。日本の新興宗教の主なもので信者を増やしているのは真如苑だけである。また、既存仏教寺院も、人口減少・過疎化の影響で檀家数が減少しているところが多い。有名観光寺院は子供の数か減ったため修学旅行の観光収入が減っている。
海外を見ると、フランス・イギリスなどでは、特に都市部で教会に礼拝に通う人は大幅に減っている。韓国では、戦後キリスト教が増えたが、現在では頭打ちになっている。
本書では、このように、世界中で宗教が退潮傾向にあることを指摘し、その背景の社会現象として、資本主義に原因を求めているようだ。
日本の新興宗教が、真如苑を除いて軒並み退潮傾向にあることについて、社会変化に原因を求めるのは当然の分析ではあるが、本書では、このことが繰り返し述べられ、冗長の感がある。さらに、世界は無宗教化に進むと予言しているが、どうもその根拠がはっきりしない。社会情勢の変化によって、既存の宗教が退潮傾向にあることはわかるが、だからと言って、無宗教化に進むと結論することができるのだろうか。
本書に記述された文章は読みやすいが、内容が散漫で著者の論が良く分からなかった。もう少し、推敲してほしかったと感じる。
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