本の紹介―暴走する日本軍兵士 ― 2019年08月28日

ダニ・オルバフ/著『暴走する日本軍兵士』朝日新聞出版(2019.7)
著者はイスラエルの歴史学者で、専門は軍事史。原書は英語で、本書は日本語訳。
日本軍が政治を無視して独走していった経緯を幕末から2・26事件まで、時代を追って説明する。一般向けの歴史解説書ではなくて、専門的な歴史研究書なので、内容は詳細で参考文献も多い。
本書で著者は、日本軍の制度には3つのバグがあって、そのため軍部の暴走を許したとしている。3つのバグとは「あいまいな正当性」「一方通行の領土拡大」「終わりなき領土拡大の道」であるとする。軍部暴走の原因をこの3つに収斂させる見解には賛成できないが、軍部暴走の歴史が詳しく説明されており、日本近代史理解の上で大変参考になる。