本の紹介-真説 日本左翼史 ― 2021年10月10日

池上彰、佐藤優/著『真説 日本左翼史』講談社現代新書(2021.6)
ジャーナリスト・池上と元外務省職員・佐藤優の対談。学生の時に佐藤優は社会主義協会の青年組織である社会主義青年同盟(略称:社青同)に入っていたそうだ。
本書の内容は、終戦直後から10年間の日本共産党の記述が多い。このほか、社会党系マルクス主義の記述もあるが、新左翼は含まれない。
講座派、労農派の話や、徳田らの所感派が武装闘争に走り、宮本・志賀らの国際派が六全協で武装闘争を放棄したことなど、戦後初期共産党について詳しいが、志賀が除名された件は記載がない。
労農派は共産党ではなく、社会党社会主義協会になってゆくが、本書には社会主義協会の記述も多少ある。協会派が社会党内の主流であったようにも感じられる記述があるが、実際は協会系が国民の投票で支持を受けた主体ではなかった。協会派の青年組織である社青同の人たちが、手弁当で社会党議員の選挙を手伝っていたことは事実なので、社会党にとって、協会派が便利な組織だったと言えるかもしれない。しかし、1970年代に協会批判が起こると、社会主義協会や社青同は急激に退潮した。しかし、こういう話は本書になく、何となく協会に関してはヨイショに感じる。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。