本の紹介-小川さゆり、宗教2世2023年05月30日


小川さゆり/著『小川さゆり、宗教2世』小学館 (2023/3)  

 著者は、統一協会二世。
 安倍元首相暗殺以降、統一協会問題がマスコミの話題になると、著者はテレビに出演し、統一協会2世の苦しかった状況を証言した。著者の証言がきっかけになって、統一協会2世の他、エホバ2世、創価学会2世など、新興宗教2世問題が日本社会に知られることとなった。

 本書は著者の自叙伝。統一協会2世の家庭に生まれたことで、多くの不要な苦しみを受けることになったてしまった状況を説明する。
 著者も書いていることだが、宗教2世問題は新興宗教の側だけにあるのではなく、親の問題が大きいのだろう。
 結局、彼ら(統一協会信者の両親)は自分の子どもに向き合うことはせず、すべてを都合よ考えるだけだろうと思うと、本当に悔しかった。
 すべてを教会のフィルターを通して捉えるこうした見方は、統一教会の信者が献金をする心理とも関係していると私には思えました。
 要するに、彼らは自分たちにとって都合の悪いことと向き合いたくないのです。例えば、我が家では祖母の介護の問題がありましたが、そうした問題は本来、自分たちが向き合って解決していくものでしょう。けれど、両親はその問題について、お金を払って「先祖解怨」をすれば解決すると考えたり、祈願書に「おばあちゃんとの関係が良くなりますように」と書いたりすれば、なんとかなると信じている。
 自分たちが問題と向き合う努力をしなくても、お金を払ったり、お祈りや敬拝、訓読などをしていれば、ご父母様や霊界が解決してくれる―という逃げ道になってしまっているわけです。問題の根本に向き合いたくないから、奇跡に頼ろうとする。しかも、教会がそれを推奨するので、実際に向き合うことなく逃げられる。統一教会では、教えに疑問を持つことや自分で考え判断することはサタンが入るとされ、すべてはアベルに報告し、神様に祈り判断しなさいという。でも、それでは問題は本当の意味で解決されることはないのです。(P162,P163)

 仏教系新興宗教の浄土真宗親鸞会幹部で何人も勧誘した瓜生崇氏は、著書『なぜ人はカルトに惹かれるのか』の中で、このように書かれていた。
 『私が親鷺会で勧誘していたときに先輩は、入信する人は心の中に教えを求める「核」のようなものがあり、それをつかんで本人の目の前に引きずり出すのが勧誘ということだと言っていた。』  人生の悩みに対して、安易に答えを欲しがっている人が、カルト側の狙い目と言うことのようだ。 http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2022/05/15/9490781

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

* * * * * *

<< 2023/05 >>
01 02 03 04 05 06
07 08 09 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

RSS