北方4島「すべてロシア領だ」2010年12月25日

 ロシアのメドベージェフ大統領は、ロシアテレビ局のインタビュー生番組に出演し、南千島は「全てロシア領だ」と述べ、北方4島に日本との自由貿易圏を創設することを提案しました。
 日本では、北方4島の帰属に対して、強引な解釈があるけれど、条約をよく読めば、メドベージェフの発言は至極妥当なものです。
昭和31条約第20号(日ソ共同宣言)第9条後段
ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。

 「平和条約が締結された後に引き渡される」とかかれているので、平和条約締結以前には引き渡されません。また、平和条約締結までの間は、北方4島「すべてロシア領」と考えるのは自然です。ヤルタ協定では、千島列島をソ連に「引き渡す」と書かれています。当時、千島列島は日本の領土だったので、「引き渡す」の用語は、正当に領有しているものを相手に渡す場合に使われていることは明白です。日ソ共同宣言の「引き渡す」の用語が、ヤルタ協定の「引き渡す」とは違う意味であるとの主張は困難でしょう。

ロシアは、平和条約締結交渉をあきらめたようです。
平成22年に改正になった「北特法」には以下の条文が加えられました。

第二条の二  国は、北海道並びに北方領土隣接地域の市及び町をはじめとする地方公共団体並びに民間の団体との密接な連携を図りながら、北方領土問題等の解決の促進を図るため必要な施策を積極的に推進し、我が国固有の領土である北方領土の早期返還を実現するため最大限の努力をするものとする。
この条文を見ると『国は4島返還実現のために最大の努力をする』となっています。外交は、それぞれが譲歩しあうものなので、はじめから「4島返還以外ダメ」と言ってしまったら、条約交渉はできなくなるので、ロシア側からすれば、これは、平和条約締結交渉拒絶以外の何者でもないでしょう。平和条約締結交渉がなければ、平和条約は締結されないので、ロシアが歯舞・色丹を日本に引き渡すこともありません。

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