文部科学省 放射線副読本2011年10月18日

 先日、文部科学省は、放射線の学校教育用副読本を作って、公開しました。今後、各学校に配布されます。放射線を正しく教えようとの気持ちが感じられるのですが、依然として、原発推進を有利に進めるための洗脳をしようとの気持ちが払拭されていないようにも感じます。

小学生用に、こんな記述があります。
 「一度に100ミリシーベルト以下の放射線を人体が受けた場合、放射線だけを原因としてがんなどの病気になったという明確な証拠はありません。」
 この記述は誤りではないのだけれど、これだと、証拠もないのに大げさな対策をしているように感じる人もいるでしょう。通常、安全であるとの明確な証拠がない人工物を排出することは、禁止されているのに、核廃棄物だけは、安全性が確認されていなくても、少量ならば、放出が容認されています。医薬品や食品添加物などは製造する側が安全性を確認する必要があるのに、放射性廃棄物だけは、浴びさせられる側に危険性の立証責任があると考える人もいます。

高校生用に、こんな記述があります。(小中学生用にも類似記述あり。) 
 「・・・放射線を出す能力を放射能と言い・・・」
 X線を放射線に含める場合と含めない場合があります。文科省の副読本では、X線を放射線に含めています。しかし、レントゲン装置はX線を出す能力があるけれど、放射能とは言わない。このため、X線を放射線に含める場合は、放射能とは、核由来の放射線を出す能力としなくてはならない。
 放射線にX線を含めない場合は、放射線とは核由来の粒子・電磁線と言うことになり、この場合は「放射線を出す能力を放射能という」で正しいわけです。
 いずれにしても、放射能の説明には、どこかで核由来であることを言わなくてはならないのに、文科省の副読本は、この重要なポイントが欠落した、誤った説明になっています。
 放射線が身近に感じるように、X線を放射線に含めたのだろうけれど、悪気はなかったとしても、記述の整合性が取れなくなってしまっている。

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