本の紹介-朝鮮近代郵便史―1884-19052015年08月06日

 
水原明窗/著 『朝鮮近代郵便史―1884-1905』 日本郵趣協会 (1993/09)
   
 朝鮮の近代郵便は1884(明治17)年10月1日に洪英植により開始された。しかし、同年12月4日、洪英植を含む開化派は郵征総局における宴会を利用してクーデターを起こす(甲申の変)が、失敗に終わり、関係者は処刑または日本に亡命した。この結果、郵便事業も12月6日を以って事実上停止となった。
 一時頓挫した郵便事業は1893年になって再開の機運が訪れたが、甲午農民戦争や日清戦争の影響で頓挫した。1895年6月1日、ソウル市内及びソウル・仁川間で郵便事業が開始され、その後、徐々に各地に拡大した。1897年5月、ワシントンで開かれたUPU(万国郵便連合)大会議に参加し加盟が認められた。翌年末には批准書が米国郵政庁へ伝達された。また、外国郵便の準備としてフランス郵政省職員クレマンセを招聘し山田雪助と替えて、1900年1月1日、国際郵便が開始された。
 しかし、1904年2月、に日露戦争が勃発すると、日本は第1軍を朝鮮半島に派遣し事実上占領した。そして8月には第一次日韓協約を締結させ、日本の推薦者を韓国政府の財政・外交の顧問に据えることとなった。1905年7月、日韓通信業務合同を締結し韓国の郵便電信網を完全に摂取した。これまで使用されていた韓国切手は前日の6月30日をもって販売停止、1909年8月31日をもって使用停止となった。
   
 本書は朝鮮に近代郵便が始まった1884年から日本に摂取された1905年までの朝鮮近代郵便の全貌を解説するもの。本書前半は、著者のコレクションの写真展示。英文解説のアルバムリーフのモノクロ写真で朝鮮近代郵便の珍しい使用例のほか、在朝鮮日本郵便局の使用例などが豊富に掲載されている。著者の執筆した別の本『華郵集錦 全10巻』と同じような掲載方法。
 後半は、近代朝鮮郵便史の解説。切手コレクター向け解説なので、郵便にまつわる歴史のほかに、切手や葉書・消印の解説が詳しい。
    
 朝鮮近代郵便の解説書としては、『陳錤洪/著 旧韓国の切手(1)(2) 日本郵趣協会(1968)』があるが、本書の方がページ数も多く、内容もだいぶ詳しく書かれている。表紙写真の文位切手オンピースは珍品です。

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