本の紹介-日米開戦へのスパイ 東條英機とゾルゲ事件2017年07月26日

      
孫崎享/著『日米開戦へのスパイ 東條英機とゾルゲ事件』祥伝社 (2017/7)
    
 太平洋戦争勃発前の1941年9月から、ドイツ人記者・リヒャルト=ゾルゲ、近衛内閣ブレーン・尾崎秀実らがスパイの疑いで逮捕され、死刑になった。いわゆるゾルゲ事件である。ゾルゲの報告で、日本にはソ連侵攻の意思がないことを知ったスターリンは全兵力をドイツ戦線に振り向けることができたなどと、言われることが多い。
 本書では、このような俗説を検証し、ゾルゲからの情報はソ連にとって重要なものではなかったことを明らかにする。そして、ゾルゲ事件は、東條が近衛内閣を退陣させて権力を奪取するために利用されたものであり、さらに、戦後には反ソ宣伝に利用された事件だったことを明らかにしている。
 ゾルゲ事件は、歴史上有名な事件であるが、スパイは秘密が多いので明らかでないことも多く、事件の解明自体に謀略が含まれることがある。本書は、多数の文献を精査することにより、事件の全貌を解明している。ただし、事実の解明に主眼が置かれた研究書であるため、歴史に詳しくない人や、結論だけが欲しい人には、読むのが大変だろう。

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