本の紹介ーブッダ最期のことば ― 2018年10月13日

佐々木閑/著『ブッダ最期のことば(NHK「100分de名著」ブックス )』NHK出版 (2016/6)
仏陀の死の様子を著した「涅槃経」には、小乗のものと、大乗のものがある。本書は、小乗涅槃経のうち主にパーリ語経典をもとに涅槃経を解説するもの。
涅槃経は仏陀が死ぬときの旅の物語の中に、僧侶への教え、大衆への教え、教団維持のための教えが示されている。本書では、このような涅槃経の教えを解説する。このため、本書は、単に涅槃経の解説にとどまらず、仏陀の教え全般の解説になっている。仏陀は超越的絶対者にすがるのではなくて、自分の心の修養を教えたことが明確に示されている。
著者は京都大学工学部で化学工学を学んだ人なので、科学的合理的精神の持ち主のようで、本書の解説も論理的で読みやすい。
終章に大乗涅槃経と小乗涅槃経の対比が述べられる。大乗涅槃経がブッダの教えから離れた状況も詳しい。
小乗涅槃経の全訳としては、中村元/著「ブッダ最後の旅」が岩波文庫から出版されている。
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