本ー映し出されたアイヌ文化2020年07月02日

  
内田順子/著『映し出されたアイヌ文化』吉川弘文館(2020.3)
  
国立歴史民俗博物館は英国人医師マンローが1930年代に二風谷で撮影した映画や写真を所蔵している。
本書は、マンローが残した写真に解説を施したもの。写真が主体。

本ーサガレン2020年07月03日

 
梯久美子/著『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』 KADOKAWA (2020/4)
 
 著者はノンフィクション作家。著者の2度のサハリン旅行の記録。著者は鉄道ファンのようで、サハリンの鉄道に対する記述が多い。
 前章は北サハリンのノグリキまでの列車旅行とノグリキで計便鉄道の廃線跡を訪ねた時の記録。紀行文のほかに、林芙美子の『下駄で歩いた巴里』への言及がある。
 後章は宮沢賢治の話が中心。

本の紹介ー下駄で歩いた巴里 林芙美子紀行集2020年07月10日

 
林芙美子/著, 立松和平/編『下駄で歩いた巴里 林芙美子紀行集』 岩波文庫 (2003/6)
 
 林芙美子の短編集。20編の紀行文が収録されている。
 「樺太の旅」は昭和十年に樺太を訪れた時の紀行文で、35ページほど。著者は稚内から船(亜庭丸)で豊原に上陸した後、日露国境に近い「オタスの森」まで旅行した。当時、樺太は王子製紙が大規模に操業しており、木を切った後ほとんど放置していたため、樺太の山は多くが禿山状態になっていた。著者は旅行途中で、樺太の山々が禿山であることを目撃し、心を痛めている。

本ーあいちトリエンナーレ「展示中止」事件 表現の不自由と日本2020年07月12日

  
岡本有佳、アライヒロユキ/編『あいちトリエンナーレ「展示中止」事件 表現の不自由と日本』(2019.11)岩波書店
 
 近年、右翼たちが騒ぐようになった。昔も騒がしい右翼はいたけれど、かつての右翼は暴力団の下請けが多かったが、近年の右翼は暴力団とは無関係が多い。
 本書は、右翼や名古屋市長によって中止に追い込まれた、あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」事件の経緯を扱ったもの。
 私には、芸術の自由について知識がないので、この件に対して判断できない。
 
 スターリン時代のソ連では、芸術は国家に奉仕するものとされたため、それに反する芸術は排除された。かつて、大月書店の国民文庫からジダーノフ論文の翻訳が出版されていた(党と文化問題)。今の日本は、スターリン体制に近づいてきたのかな。

本の紹介ーだれが日韓「対立」をつくったのか2020年07月14日

 
岡本有佳、加藤圭木、他/編『だれが日韓「対立」をつくったのか:徴用工、「慰安婦」、そしてメディア』大月書店 (2019/12)
 
本書は以下の5つのテーマで、日韓関係悪化の原因とその解消方法を示す。
「徴用工問題」「慰安婦問題」「歴史問題」「日韓関係悪化の原因」「解決の道」
各テーマは、それぞれ3項目程度に分かれている。それぞれの項目は数ページなので詳細な話はないが、日韓対立の概要が分かるようになっている。

以下各テーマと執筆者を記す。

はじめに――泥沼化する日韓関係を読み解く(加藤圭木)

PART1 徴用工問題――「韓国はルール違反」の真相
 Q1 なぜ徴用工は損害賠償を求めているのか?(加藤圭木) 
 Q2 「韓国は国際法違反!」と、断言できるのはなぜ?(川上詩朗)
 Q3 韓国はなぜ話を蒸し返すのか?(金昌禄)  
〈topic1〉日本の軍事動員と皇民化政策(金庾毘)

PART2 主戦場としての「慰安婦」問題――「少女像は反日」か?
 Q4 日本軍の強制連行はなかった?(吉見義明)  
 Q5 「慰安婦」は、ビジネスで、「性奴隷」ではない?(金富子) 
 Q6 なぜ米国にも「慰安婦」の碑を建てるのか?(金美穂)  
 Q7 日本はお金も払って責任を果たしたのに、なぜ韓国は「合意」を無視するのか?(板垣竜太)
〈topic2〉 《平和の少女像》(平和の碑)の願い(岡本有佳)

PART3 韓国はなぜ歴史問題にこだわるのか?
 Q8 「韓国併合」のどこが問題なのか?(加藤圭木)  
 Q9 日本人もひどい目にあったのに、なぜ朝鮮人は被害を言い立てるのか?(加藤圭木)
 Q10 文在寅政権はなぜ、歴史問題(徴用工・「慰安婦」)にこだわるのか?(金富子) 
〈topic3〉 三・一運動と現在(加藤圭木)  
〈topic4〉 関東大震災下の朝鮮人虐殺(加藤直樹) 
〈topic5〉 韓国の民主化と過去清算(藤永壮)

PART4 なぜ、これほど日韓関係は悪化したのか?――メディアのズレを読む
 Q11 日本のマスメディアは《少女像》撤去・移転をどう報じているか?(岡本有佳)  
 Q12 日本のマスメディアは徴用工問題をどう報じたのか?(土田修) 
 Q13 日本のマスメディアは日韓関係の悪化をどう報じ、何を報じていないか?(土田修)
 Q14 韓国メディアは日韓関係の悪化をどう報じ、何を報じていないか?(吉倫亨)
〈topic6〉 韓国特派員が見た日本のメディア(金鎮佑)  
〈topic7〉 韓国・市民によるメディア監視(モニタリング)(岡本有佳)

PART5 解決への道はあるのか?
 Q15 「戦後生まれ」が責任を問われるのはなぜか?(加藤圭木)   
 Q16 植民地支配の責任にどう向き合うのか?(梁澄子)  
〈topic8〉 朝鮮民主主義人民共和国で出会った人びと(加藤圭木)
〈topic9〉 日韓交流がつくる未来――「#好きです韓国」から見えた無自覚の偏見と日韓連帯の鍵(阿部あやな)

本の紹介―朝鮮戦争70年2020年07月28日

 
和田春樹、孫崎享、小森陽一/著『朝鮮戦争70年』かもがわ出版 (2020/6)
 
第一章は和田春樹の論文「東北アジアと朝鮮半島に平和体制を作る」で、内容は、朝鮮戦争以降の日韓、日朝間の現代政治史。
第二章は孫崎享の論文「朝鮮戦争と日米同盟の経緯」で、内容は、極東地域における米国の安保・軍事政策と日本や朝鮮半島の関係。
第三章は小森陽一の論文「日韓関係と安倍晋三長期政権」で、内容は、朝鮮戦争以降の日韓現代政治史に関する記述が多いが、ベトナム戦争や東西冷戦とその崩壊など、世界政治の視点が多い。
3つの章には特に関連はないので、どの章から読んでもかまわない。
第四章は3人の対談。

アルメニア・アゼルバイジャン紛争2020年07月29日

 
 ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンに囲まれたアルメニア人の居住地です。ソ連崩壊以降、どちらの領土なのか、両国の間で紛争が続いています。住民はアルメニア人なので、アルメニア人による自治が行われています。手紙を出すときはアルメニア経由。写真は、2000年に群馬県前橋市からナゴルノカラバフの首都ステパナケルトに差し出された手紙。アルメニア経由で配達されています。
 
 報道によると、アルメニア・アゼルバイジャンで小競り合いが起き、双方に犠牲者が出ているそうです。
 トルコ大統領エルドアンは世界遺産「アヤソフィア」をモスクにしました。ここは、6世紀にギリシャ正教の大聖堂として建設されたあと、オスマン帝国の征服後にイスラム教のモスクに改修され、トルコが建国されると、宗教和解と政教分離の方針に沿って博物館に変更された所です。
 国民の支持を失っているエルドアンが人気回復のために、宗教対立をあおっているのだろうけれど、嫌な人たちです。
 今回の、アルメニア・アゼルバイジャン衝突は、トルコに支援されたアゼルバイジャンが仕掛けたのかな。嫌な人たちです。

アルメニア・アゼルバイジャン紛争(2)2020年07月29日

 
こちらは、2008年、ナゴルノカラバフの首都ステパナケルトから埼玉県川口市に差し出された手紙。ナゴルノカラバフ独自の切手が貼られ、アルメニア経由で配達されています。

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