本の紹介―霊感商法の勝共連合=統一協会2022年07月16日

 
日本共産党中央委員会出版局/編『霊感商法の勝共連合=統一協会』(1987/10)共産党ブックレット 
 
 35年前の出版。今更こんな本を紹介しても、読む機会はないと思う。
 1970年代、統一教会の勧誘は、大きな社会問題にはなっていなかった。1980年代になると、統一教会の霊感商法が盛んになり、週刊誌等で霊感商法被害が報告されるようになった。統一教会は、岸信介のような右翼政治家や、笹川良一、児玉誉士夫のようなヤクザ系の人たちと一緒になって、勝共連合を組織しており、勝共連合・統一教会は一体となって右翼活動と霊感商法を推し進めた。
 本書は、1987年に、共産党から出版されたもの。共産党なので、勝共連合と自民党政治家の癒着を取り上げた記述が多いが、当時の霊感商法の告発も重要なテーマとなっている。
 
 統一教会の霊感商法は1990年代になると活発になる。私が利用している川口駅でも、統一教会の人が通行人を呼び止めて「手相を見てあげる」と言っては勧誘しようとしたり、ハンカチを売っていたりした。若い人に声をかけていたようだが、当時、若かった私も何回か声を掛けられたことがある。このころ、霊感商法は社会問題となってゆく。また、歌手の桜田淳子が統一教会の合同結婚式で結婚したと報じられると、社会の関心を集めた。
 その後、統一教会への民事訴訟が各地で起こり、2000年代になると刑事事件も現れ、2009年には、警視庁が強制捜査を実施し、教団施設や関連会社が捜索され、幹部らが特定商取引法違反で有罪判決を受けた。
 
 統一教会が日本社会で警戒されるようになってきた1997年、統一教会は名称変更を目論む。しかし、この時は文部科学省が名称変更を拒否した。安倍派の重鎮・下村博文が文部科学大臣に就任すると、2015年に、家庭連合への名称変更が認められ、以後は家庭連合の名前などを使って、霊感商法が継続した。
 なお、日刊ゲンダイによると、下村博文は統一教会系企業から献金を受けている。
 
 本書は1987年の出版であるが、これより前、1985年にジャーナリスト青木慧『パソコン追跡勝共連合』が汐文社から出版されている。1980年代に統一教会の霊感商法を告発した本は少ない。

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