本の紹介-だから知ってほしい「宗教2世」問題2023年10月19日

 
塚田穂高 、鈴木エイト、藤倉善朗/編・著『だから知ってほしい「宗教2世」問題』筑摩書房(2023/9)
 
 宗教2世問題に対して、25章に渡って、多方面から執筆。著者は40人程度にのぼる。宗教2世問題は、新興宗教に限らないが、実際には、統一協会・エホバ・創価学会で被害者が多いので、「カルト2世問題」「新興宗教2世問題」と考えたほうが、素人には理解しやすい。
 本書の第一編は12章に分けられ、各方面の専門家により、宗教2世問題の分析がなされる。多方面にわたっているので、私には、消化不良の感じがした。
 第6章、猪瀬優里氏の「創価学会と2世」では創価学会を取り上げる。また、第12章、信田さよ子氏の「アダルトチルドレンと宗教2世問題」には、次の記述がある。「ACと自認した女性たちのグループカウンセリングを継続実施しているが、そこに参加する女性の中にも、親の信仰によって苦しんだ人たちが多く、そうしたケースのほとんどで、親は創価学会の会員だった」。創価学会員は選挙活動などで、家を空けることが多く、子供のネグレクトにつながっているのだろう。あるいは、子供をネグレクトする親が創価学界に引き寄せられているのかもしれない。いずれにしても、創価学会がこれほどまでにはびこり、悲惨な2世を生んでいるのは、国民のかなりの人が選挙に無関心なため、創価学会票で議席が取れる現実がある。皆が選挙に行けば、悪質カルト問題の解決に近づくのではないだろうか。
 本書第二編は宗教2世の体験談。ここでも、創価学会・エホバ・統一協会が多い。しかし、22章では、お寺を継ぐ問題が書かれている。これも宗教何世問題といえなくもないが、経営者の息子が社長を継ぐ問題と同様であり、いわゆる宗教2世問題とは異なると感じた。最終25章は、いろいろな宗教2世17名により、各自の体験や教団・社会に望むことなどが書かれている。ここには、創価学会・エホバ・統一協会の他に、幸福の科学、真如苑、オウムなどがある。

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