プーチン=小泉会談は日本外交の行き詰まりを象徴している2005年11月22日

 11月21日、プーチン=小泉会談が行われました。この会談では、北方領土問題で、具体的な進展は無く、共同声明も見送られました。さらに、日本側が求めていた、東シベリア産原油を東アジアへ運ぶパイプライン計画の「太平洋ルート」の優先着工も合意できませんでした。

 一方で、プーチンに同行したロシア経済人100人は、日本で活発に行動し、さらに、プーチン自身、経団連会長と会談するなど、ロシア側は着実な経済外交の成果を上げた模様です。

 日本は、これまで長い間「政経不可分(政治と経済は分離しない)」を主張していました。しかし、本来、経済は双務的で、お互いに利益が無ければ成立しないもので、お互いの利益が大きければ規制は難しいものです。これまで、日ロ間での経済関係が少なかったのは、経済交流のメリットが大きくなかったためです。旧ソ連時代、東西の経済関係は希薄でした。ソ連崩壊にともなうソ連・ロシアの混乱期は、日本側のメリットがあまりありませんでした。現在、原油高で、ロシア経済は潤っています。このため、日本としては商品販売の市場として、また、原材料・原油の供給基地として、さらに、工場生産拠点として、ロシアとの経済交流が欠かせなくなっています。日本だけ、政治の都合で、ロシアとの経済関係を停滞させるわけにはゆきません。

 外交は二国間だけで済むものでは有りません。日ロ関係は、日中・日韓関係とも関連しています。もちろん、日米関係とも関係しています。現在、日本外交は、靖国参拝問題などで、中・韓から痛烈な批判を浴び、膠着状態に陥っています。

 18日のニュースによると、ロシア外務省のカムイニン情報局長は「日本の歴史教科書では、韓国の占領や第2次大戦前後の中国における軍国主義者による残虐行為は犯罪ではないとされている」と指摘。さらに「中国や韓国など日本の近隣諸国は、日本指導部による公式謝罪が未来志向の関係発展のための前提条件とみなしている」と述べた、そうです。完全に足元を見られた発言です。
 日中・日韓外交の停滞が、日ロ外交でも日本側に不利に影響しています。

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