安倍政権の対ロシア交渉は評価に値する2020年09月07日

今日の朝日新聞社説のタイトルは「対ロシア交渉 失敗を検証して出直せ」である。
 
 長かった安倍政権も、ようやく終わりが近づいてきた。朝日新聞の社説は安倍政権による対ロ交渉を批判するもの。
 
『日本の外務省には、過去の経緯やロシアの論理に通じた人材がいる。だが安倍氏と側近はその専門知を軽視し、「2島返還ならプーチン氏も応じるだろう」との思い込みで、長年の主張を一方的に後退させた。』
 朝日新聞社説における安倍対ロ外交の総括はこの一文に示されている。
 
 朝日新聞の言う「過去の経緯やロシアの論理に通じた人材」が戦後75年間やってきたことは、領土交渉を一歩も進ませないことだった。高級官僚の目的は、組織を維持・永続させることと、天下りポストを確保することである。日本の外務官僚たちは、日露外交を膠着させることにより、領土問題対応部署や天下り場所を維持し続けてきた。この状態が多少変化したのは小泉改革の時で、天下りポストが削減させられたため、天下りポストとしての領土問題の魅力は少なくなった。
 外務官僚たちが領土問題を進めないために使った手法は、「領土問題が解決しない限り経済関係を進めてははならない、四島返還以外は絶対ダメ」ということだった。どう考えても無理な条件を突き付けて、領土問題を進展させないというのが、彼らの策謀だった。
 安倍内閣では、この方針に大きく変更がなされた。「経済関係の進展の先に、領土問題がある。現実的で具体的な解決を目指す。」このように、戦後一貫して外務官僚たちがやってきた「領土交渉を一歩も進ませない」との政策に風穴を置けたのが安倍外交だった。ただし、戦後75年間膠着した問題が、一朝一夜に解決するものでもないので、領土問題で目立った成果は乏しかったが、交渉に道を開いた点で、今後の進展に期待が持てるものだ。

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