安倍総理殺害 自業自得か2022年07月14日

  写真の本は、
いのうえせつこ/著『新宗教の現在地』花伝社(2021/3) 監修/山口広

 本の内容は、現在の日本における新興宗教被害について取材したもの。幾つかの新興宗教を取り上げているが、多くのページを割いているのが統一教会で、本の半分程度になる。
 この本は、昨年読んだのだけれど、内容は、まあそんなものだろうと予測できたことだったので、特に大きな感想はなかった。
 http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2021/07/11/9397030
 今回、統一教会がらみの大事件が起きたので、前半の統一教会部分を再読した。

 著者は、2019年12月23日に、横浜市の公共施設で行われた、統一教会の勧誘活動を取材している。その後、施設の管理責任者に反社会団体に会場を貸さないように申し入れた所、「横浜の市議会議長も家庭連合の会員と近しいのですよ」と言われたそうだ(P24)。
 当時、横浜市議会議長と言えば、自民党青葉区連合支部支部長の横山正人氏だ。 横山正人氏の口利きがあって、統一教会が公共施設を使用したのかどうかは、本書の記述では分からない。公共施設を使用して勧誘すると、知らない人は、勧誘が半ば公的機関のものだと誤解しがちだ。このため、統一教会が、自民党議員の口利きで、公共施設を使用していたならば、自民党が霊感商法の共犯と言っても過言ではないが、事実はどうだったのか分からない。 しかし、本書の記述だけでも、何か感じの悪い予感がすることは確かだろう。
 その後、著者の再三の申し入れが2020年6月の神奈川新聞に取り上げられると、横浜市長定例会見で統一教会に横浜市の公共施設を貸さないことが回答された。

 統一教会と岸信介・安倍晋三政権との結びつきについて以下の記述がある。 
 日本に統一協会が上陸したのは1958年。翌年、「世界基督教一神霊協会」の名前で、すぐに宗教団体として認められた。この「速さ」の背景には、岸信介(当時首相)と、政商・小佐野賢治の存在が大きいとされる。
 文鮮明はさらに、日本の右翼界の大物、笹川良一や児玉誉士夫などとも交流を持ち、岸信介の支援を受けて、1968年4月、「反共産党」を旗印に掲げる「国際勝共連合」を発足する。…
 統一協会信者の若者たちは、保守系議員の選挙を無償で支えている他、議員秘書になったり、地方議員にも進出したりする者もいる。第一次安倍内閣、第二次安倍内閣とも、統一協会による選挙協力はすさまじく、安倍晋三にこびへつらう意味もあって、統一協会に協力する多くの右派政治家たちが、地方議員から国会議員にまで広がり、安倍政権下で徴用されるようになった。(P78~P80)
 本書以外にも、統一教会と自民党政治家との結びつきや、統一教会被害について書かれた本は多い。さらに、統一教会の霊感商法被害に対しては裁判所の判決などでも良く知られていることだ。
 このため、犯人が統一教会や韓鶴子を恨むのは当然だ。韓鶴子にビデオメッセージを送っている安部元自民党総裁や自民党を憎むのも理解できる。しかし、銃撃までするかと言えば、かなり飛躍があって、犯人の行動は理解しがたい。

 安倍元総理が犯罪被害者であることは間違いないが、自業自得の面がなかったのかどうかは、犯人の動機が明確でないので、何とも言えない。今後、裁判の中で、犯人の動機が明らかにされたあとに、考えればよいことだ。
 統一教会の霊感商法や自民党との結びつきが解明される可能性はあるのだろうか。犯人の裁判で、政権への忖度がなされ、この問題が公にならないような訴訟指揮が行われるならば、犯人の動機の解明には至らない。そうなったら、安倍元総理の被害に自業自得の面があったか、なかったか、永遠にわからなくなるかもしれない。

 安倍元総理殺害以降、統一教会被害が連日のように報道され、今でも統一教会被害が続いていることを多くの人が知るところとなった。これが犯人の目的だったのだろうか。もしそうだとすると、安倍元総理はとんだトバッチリと言えなくもないが、悪質新興宗教と近しい関係になるのは考え物なのだろう。

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