本の紹介―原発のある風景2011年04月25日

 
 
原発のある風景 上・下
柴野 徹夫 (著)   1983年発行(未来社)


福島原発事故では、作業員の過酷な労働が報道されているが、なかでも、もっとも過酷で、放射線の直接被爆にさらされているのは、最底辺の孫請け労働者である。彼らは『原発ジプシー』などと称される。

1990年代の終わりごろ、共産党の新聞「赤旗」に原発問題が連載された。この本は、赤旗連載をまとめたもの。
この本の第1章では、今回事故を起こした『福島原発』の孫請け労働者『原発ジプシー』問題を取り上げている。

原発では、定期点検等の作業に、ある程度の被曝を余儀なくされる作業が発生する。この時、被曝をしながら作業をするのは、東電の社員ではなくて、東電の孫請け会社の労務者であり、彼らは、ヤクザの親方のような人によって、全角各地から集められた日雇いの作業員で、法定限度の被曝をすると、作業を外れる。法定限度の被曝後は、名前を変えて、別の原発で作業をすることもあり、被爆実態は十分に把握されていない。法律では、未成年者の雇用は禁止されているが、年齢を偽って、未成年者が雇われることも珍しくない。骨肉腫や白血病で若くして死亡するものも珍しくないが、原発作業が原因であると特定されることは、めったにない。

なお、いわゆる原発ジプシーの実態を詳細に明らかにした本としては、堀江邦夫/著『原発ジプシー』(現代書館 1979.10)が有名。この本は、1984.10に講談社文庫から再版された。

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