積石塚―八丁鎧塚古墳2019年05月01日

長野県須坂市上八町には「八丁鎧塚」という積石塚の古墳がある。
下の写真は一号墳。
 
 下の写真は一号墳(手前)とニ号墳(左奥)。
 
 どちらも直径25m以上。一号墳は4世紀後半、二号墳は5世紀後半のものと推定されている。朝鮮半島由来のものが多数出土されており、大陸との深い関係がうかがわれる。積石塚とは石を積み上げて作った古墳で、シベリアから朝鮮半島に多く見られる形態で、日本では長野県や福岡県などに見られる。渡来人の墓なのだろうか。
 


積石塚ー大室古墳群2019年05月02日

 長野インターの東側にある奇妙山の大室谷には250基あまりの古墳が集中して築かれている。このうち約80%が積石塚。奇妙山には、大室谷以外にも、金井山、北谷、霞城、北山の古墳群があり、総数で500基を超える。これらの中には盛り土の前方後円墳一基と、石土混合の古墳もあるが、約330基の古墳は積石塚である。積石塚はどれも直径15mあまりの円墳。
 大室古墳群には無料の展示館もあり、よく整備されている。
 
 積石塚はシベリアから朝鮮半島に多く見られる形態で日本では珍しいが、ここには集中して築かれている。
  
展示館
   
   
積石塚
   
 
  

本の紹介-【増補】日ソ国交回復秘録 北方領土交渉の真実2019年05月03日

  
松本俊一/著、佐藤優/著『【増補】日ソ国交回復秘録 北方領土交渉の真実』朝日新聞出版(2019/3)
 
 1956年の日ソ国交回復の時の外交の責任者の一人だった松本俊一は、十年後に「モスクワにかける虹」を朝日新聞社から出版した。この本は交渉経過を詳しく記したものである。
 その後しばらく絶版だったが、2002年「ゆまに書房」から復刻された。2012年、佐藤優は「モスクワにかける虹」に解説を付して、「日ソ国交回復秘録 北方領土交渉の真実」の書名で朝日選書より出版した。2019年、さらに解説を付して、増補版として出版したものが本書である。
 
 本書の内容は次の通り
  松本俊一/著「モスクワにかける虹」と同じ内容。p11~p264
  日露間領土問題の歴史に関する共同作成資料集(1992年版)(日本国外務省、ロシア連邦外務省)日本語版 p265~p330
  日露間領土問題の歴史に関する共同作成資料集(2001年版)(日本国外務省、ロシア連邦外務省)日本語版 p331~p364
  佐藤優の選書版解説 p365~p424 
  佐藤優の増補版解説 p425~p452
 
 安倍・プーチン会談以降、歯舞・色丹の二島返還で解決しそうな雰囲気がある。佐藤優の増補版解説はこれに対応したもの。
 松本俊一による日露国交回復交渉の過程を読めば、2島返還以外にはないことが分かるが、選書版解説もそのような立場での解説だ。増補版解説は選書版解説が現実的になった状況を説明するもの。
 
 なお、日露間領土問題の歴史に関する共同作成資料集(1992年版)(2001年版)は外務省のホームページで公開背れている。
  https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hoppo/ryodo.html
   
また、北方領土問題の解説は以下をご覧ください。
http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/index.htm
http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/Yasashii.htm

本の紹介ーガイサンシーとその姉妹たち2019年05月05日

 
班忠義/著『ガイサンシー(蓋山西)とその姉妹たち』梨の木舎 (2006/09)
 
 独立混成第四旅団は、日中戦争で日本軍が占領した山西省に派遣され治安維持にあたった。この旅団は現地中国人女性を拉致監禁し、連日連夜に渡って激しい輪姦を繰り返した。
 本書は、日本軍による輪姦の状況を聞き取り調査したルポルタージュ。著者は何度も現地に入って調査しており、本書の記述は調査ごとのルポになっている。著者は上智大学大学院、東京大学大学院で学んだジャーナリスト・ドキュメンタリー作家。
 
 本書のタイトル「ガイサンシー(蓋山西)」とは「山西省随一の美女」の意味。山西省孟県西部に住む「候冬娥」のことで、美人の誉れ高く「蓋山西」と呼ばれていた。
  
 独立混成第四旅団の部隊は蓋山西のほかに何人もの女性を拉致し部隊に隣接する小屋に監禁し、昼は兵士がかわるがわる強姦し、夜は部隊長・曹長・情報班長らが強姦した。日本軍兵士による拉致は、抵抗する女性を数人の兵士が引きずったり、逆さづりに担ぐなどした、強引なものだった。また輪姦により体を壊しても、輪姦が止む日はなかった。蓋山西は立つこともできないほど体を壊すと、ようやく解放された。拉致監禁され性奴隷にされた女性の中には、親族が高額の金を払って解放されたものも多い。
 
 独立混成第四旅団の部隊による組織的な輪姦が起こったきっかけとして、本書では「百団大戦」を挙げている。百団大戦とは、昭和15年8月に、八路軍が大兵力を動員し日本軍に対し一斉攻撃を行った戦いをいう。この攻撃に対して、日本軍は大規模な八路軍掃討作戦を発動し、独立混成第4旅団は「敵性ありと認めた一部の住民の殺害」を命じた。この命令に従って、中国人美女を「敵性あり」と口実をつけ、拉致監禁し輪姦を繰り返したものだったのだろう。性奴隷にされた女性の中には初潮前の少女もいた。
 
 2011年12月10日、NHKで『証言記録 兵士たちの戦争 中国華北 占領地の治安戦~独立混成第4旅団~』が放映された。ここでは「戦争が長期化する中で、一部の将兵の間で軍紀の乱れが目立つようになる、司令部は軍紀の徹底を再三にわたり指示したが、広大な地域に分散配置された部隊の末端にまで徹底することは困難だった」とし、さらに、旧日本軍人により「強姦は禁止されていた」との証言が語られている。これでは、一部部隊の末端兵士の不正行為だったかのように問題が矮小化されてしまっている。
 しかし、蓋山西は末端兵士に強姦されたのではなくて、部隊長の命令による性奴隷化だった。本書には、旧日本軍兵士による証言として、末端兵士の中には強姦することを嫌がるものもいたが、古参兵の命令により強姦したとの証言も記載されている。軍人勅諭には『下級のものは、上官の命を承ること、実は直に朕か命を承る義なりと心得よ』とあり、下級の者はたとえ殺人命令、強盗命令、強姦命令であっても、それを天皇陛下の命令として実施する必要があった。蓋山西らに対する性犯罪では、末端兵士は上官命令で強姦したのであって、末端兵士の暴走ではなかった。

ホームページ追記2019年05月07日

「日露・日ソ関係 北辺探検 ゆかりの人」のページに10人ほど、追記しました。
http://nippon.nation.jp/Naiyou/index.html#Yukari

本―幕末会津藩松平容保の慟哭2019年05月13日

  
鈴木荘一/著『幕末会津藩松平容保の慟哭 北方領土を守った男たちの最期』 勉誠出版 (2018/10)
   
幕末から明治にかけて、京都守護をになった会津藩は歴史に翻弄される。本書は、この時の歴史がメイン。
それより前、文化5年に会津藩は樺太・宗谷を警備したので、この点にも少し触れられている。
なお、著者は吉田松陰に対して否定的。

本の紹介-アベ友トンデモ列伝2019年05月15日

 
適菜収/森功/山田厚史/別冊宝島編集部/ほか『アベ友トンデモ列伝 「魔の3回生」から「御用作家」まで安倍政権に巣食う「愉快な仲間たち」』宝島社(2018/12)
 
 安倍内閣は自分の取り巻きを優遇してきたので、変なのがいっぱい現れている。本書は、こうした問題の具体的事例を紹介するもの。多くは、よく知られたことではあるが、こうしてまとめて読むと、安倍内閣の異常さが際立つ。
 本書の最初に取り上げているのは、杉田水脈のLGBT差別発言を擁護した新潮45が廃刊になった話。次が百田尚樹、そして櫻井よしこ、森友と続く。
 こうしてみると、ロクなのがいないなー。
 
 参考のために、目次を記載する。
  
目次
 
『新潮45』休刊騒動の核心
「自称文芸評論家」小川榮太郎の大罪“便所の落書き”を放置すればメディアの致命傷になる
 
出版界に『殉愛』騒動再び
「日本人の美徳」を毀損する百田尚樹ベストセラー『日本国紀』のパクリ疑惑
 
「強制連行」をめぐる主張は「でっちあげ」だった
「従軍慰安婦訴訟」で暴かれた櫻井よしこ氏のデタラメ「捏造裁判」
 
「保守」の正体をあぶり出した「森友」事件
「籠池マネー」に群がった政治家・保守文化人たちのえげつない「変節」
 
告発された「安倍ベッタリ記者」の教訓
封印された「レイプ事件」「逮捕」を免れた元TBS記者「山口敬之」が論壇から消えるまで
 
2012年大量当選組は自民党「劣化」の象徴
「安倍勇退」で絶滅が囁かれる「魔の3回生」たちの末路
 
自殺、逮捕、証人喚問、そして次官更迭…
疑惑の女王「片山さつき」に見る「大蔵省昭和57年入省組」呪われた恐怖の伝説のすべて
 
130億円の税金をさらった「加計学園」
国民を「だまし続けて」2年間「総理腹心の友」加計孝太郎と官邸官僚たちの「罪と罰」
 
限界近づく「アベ友夫婦」の賞味期限
加計学園問題で「黒幕」を演じた「下村博文」の“改憲”大暴走
 
世界遺産登録で「ゴリ押し」推進
究極の肩書き「首相の幼馴染み」内閣官房参与「加藤康子」女史と怪しいブレーンたちの来歴
 
森友スクープ記者がNHK辞職!
「大本営メディア」を宣言した「読売・産経・NHK」記者たちの苦悩
 
不安視される「大企業優遇政策」の限界
乳・晋太郎の代から続く財界の華麗なる「アベ友人脈」
 
「ポスト安倍」候補と囁かれる政権の黒幕
「アベ友リスク」を管理し続ける不動の「ミスターナンバー2」菅義偉官房長官の「来歴」と「野心」
 
「巻末コラム」アベノトリビア
先祖、結婚、後継者問題までいまさらきけない「安倍晋三」15のキーワード

本の紹介-安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由2019年05月24日

  
相澤冬樹/著『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』 文芸春秋 (2018/12)
  
 かなり話題になっている本。記者の執筆のため文章は読みやすい。
 NHKの森友問題取材の中心だった元NHK記者による森友報道の経緯。
 著者がNHK記者時代に森友問題の記事を上げると、小池英雄報道局長を中心とする勢力によって、記事が報道されなかったり、意図が弱められたりしてきたことが、いろいろと書かれている。NHKの記者は東大出の秀才が多い中、小池英雄報道局長は学習院大卒にもかかわらず、報道局長に出世した人なので、安倍政権との距離が相当近い人なのだろうか。
 こういう報道機関に受信料払いたくないよね。

本の紹介―北海道ぶらり歴史探訪ルートガイド2019年05月25日

 
北海道の歴史を見て歩く会/著『北海道ぶらり歴史探訪ルートガイド』メイツ出版 (2019.3)
 
 北海道の歴史に関連した名所・旧跡などの観光ガイド。普通の観光ガイドは、食べ物屋やショッピングなどがメインになっているが、本書にはそのようなものはない。
 取り上げている地区に偏りが大きく、札幌が全体の半分程度で、それ以外に小樽・函館などもある。札幌・小樽・函館及び周辺地域を除くと、網走と平取のみ。旭川・釧路・根室などはない。

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