本の紹介-宇宙は数式でできている ― 2022年04月15日
須藤靖/著『宇宙は数式でできている なぜ世界は物理法則に支配されているのか』朝日新聞出版 (2022/1)
なかなか挑発的なタイトルだが、本の内容は、ざっくりした物理学、特に宇宙物理学の話で、哲学的な話ではない。数式は少なく、数式を知らなくても、誰でも容易に理解できる内容になっている。
著者は宇宙物理学者。物理学は単純で理解しやすい方程式で表されるが、この方程式は宇宙全体にかなりの精度で適用できることを、いろいろな事例で紹介している。方程式の数学的研究成果で、物理上の新たな発見があったことなども示されるため、本書を読むと、宇宙には法則があって、宇宙は法則により支配されていることを知ることになる。もっとも、多くの人は、そんなことを言われなくても、宇宙が法則に支配されていることは、薄々は感じているだろう。このような考えは、加持祈祷やいかがわしい新興宗教に献金するといいことがあると思っている人には、受け入れられない考えかもしれない。
P29,P30に面白い記述がある。
『 数学に至っては、この自然界が実際に採用しているルールブックに限定せず、より一般に、異なる法則から出発した世界がどのような論理体系を持つに至るのかを解明しようとします。これは「我々が住む具体的な物質世界」を対象とすることが普通である物理学に比べると、はるかにぶっ飛んだ視点だと思います。
しかし驚くべきことに、そのような純粋な思考から生まれた数学が、やがて「この世界」の記述においても本質的となった例が、歴史的に数多く知られています。この物理学と数学との不思議な関係を垣間見ていただくこともまた、本書の目的です。』
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。