日本は観測結果により国際社会を説得すべき 北朝鮮ロケット問題2009年04月08日

 北朝鮮のロケット打ち上げに関連して、中国外務省・姜瑜副局長は会見で「人工衛星の発射と、ミサイル試射および核実験は、それぞれ性質が違う」と指摘したそうです。人工衛星とミサイル試射には、類似点も有れば、異なった点もあるし、同じ技術もあれば、異なった技術もあります。中国は、北朝鮮のロケットに対して、人工衛星ともミサイルとも即断していないようですが、日本は、証拠を示さずに、ミサイルであると強弁しています。言葉で言いくるめるのではなくて、高度観測技術を元に、科学的成果によって、国際社会を説得すべきです。

 『1985年危機説』を覚えていますか。1970年代後半から1980年代前半にかけて、盛んに言われた、軍拡主張です。1985年になると、米ソ軍事力が完全に逆転し、ソ連が稚内に上陸するのを手始めとして、第3次世界大戦が勃発する…そんなことが、まことしやかに言われたものです。
 ヘタクソなジョークのような気がしていましたが、軍事・防衛予算の獲得に、効果があったそうです。このような経緯を経て、軍事産業・自衛隊幹部は国民の税金をくすねとる手段を得たわけですが、ソ連崩壊に伴って、それが、難しくなり、自衛隊幹部の腐敗汚職は国民の批判を浴びることになりました。そして、汚職の中心であった、防衛施設庁は解体、防衛庁は防衛省に昇格したものの、腐敗・汚職をやりたい放題とは行かなくなり、防衛事務次官は逮捕されました。しかし、軍事産業・自衛隊幹部が、このまま手をこまねいているはずも無く、貪欲な彼等は、虎視眈々と、税金の私物化を狙っています。

 先日、北朝鮮がロケットを打ち上げ、日本の上空300キロ~400キロの宇宙空間を飛行しました。宇宙空間は、どの国の領空でもないので、日本の人工衛星も下の国に無断で飛行しています。北朝鮮のロケット打ち上げは形式的には国際法・国際慣習に従ったものですが、日本政府は、証拠も示さずに、国連決議違反のミサイルであると強弁しています。
 北朝鮮のロケット発射に対して、日本だけが、政府・マスコミを上げて、大騒ぎをしています。騒ぎに乗じて、軍事産業・自衛隊幹部が打つ、次なる一手はどのようなものでしょう。

 北朝鮮は、人工衛星打ち上げに成功したとしていますが、事実に反するようです。
 思い起こせば、日本が最初に人工衛星打ち上げに成功したのは、1970年の『おおすみ』で、十数時間に渡って、電波を送信しました。東京大学宇宙航空研究所の度重なる打ち上げ失敗を教訓として、ようやくたどり着いた成果でした。技術とは、元々、少しづつ積み上げる性質のものなので、失敗は当然に起こり得ることで、人工衛星が軌道にないからミサイルだったに違いないと考えるのは、あまりにも技術を知らない思考です。

北朝鮮ロケットの先端形状2009年04月08日

 北朝鮮は、5日に打ち上げたロケットの映像を公表しました。この映像により、ロケットの形がおおよそ分ります。ロケットの大きさと形状が分れば、大気に再突入するときの発熱や、ロケットの温度上昇が計算できるので、数値シミュレーションで、ミサイルとして落下させることが可能なのか、推定できます。

 軍事評論家・江畑謙介氏は「先頭に少しお盆のような丸い部分があり、円筒形の部分に続く。弾道ミサイルなら空気抵抗を減らすため円錐形の先頭形状にするのが通常。今回は人工衛星の打ち上げを試み、失敗したと考えたほうが自然かもしれない」と話した、そうです。(http://www.asahi.com/international/update/0408/TKY200904070359.html
 江畑氏は、詳細な計算をしたわけではなくて、直観で言っているのでしょう。このため、軍事専門家には異なった見解もあるとは思いますが、北朝鮮が打ち上げたロケットが、ミサイルであると判断する根拠は、今のところ、何もないようです。

 人工衛星打ち上げ能力は、ミサイル技術と関係有る部分もあります。技術とは、一般に、相互に関連しあっているので、ある技術の一部が、他に転用できることは、珍しくありません。特に、数学の能力は、広く、いろいろな技術に転用可能です。だからと言って、人工衛星打ち上げ技術で、大陸間弾道弾が完成する訳も無く、逆に、大陸間弾道弾が開発できれば、それで、人工衛星打ち上げは完璧と言うわけでもありません。技術は、それほど甘くはないです。

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