本の紹介-歴史問題ハンドブック ― 2015年10月17日
東郷和彦、波多野澄雄/編『歴史問題ハンドブック』(岩波現代全書)
靖国問題、日本の植民地支配、従軍慰安婦問題、南京大虐殺など、現在、日本や近隣諸国で話題として取り上げられる戦前日本に関連した歴史問題について、各方面の専門家によって、それぞれのテーマについて数ページの解説がなされている。
それぞれのテーマのページ数は多くないので、詳しい内容はないが、問題の概要を知る上で便利。また、参考文献も豊富に紹介されており、より進んだ学習をするための手引きとしても有用である。執筆者の多くは学者であるため、記述内容は史実を学問的にしっかりと解明する観点が強い。
執筆者は20人以上にのぼり、記述内容もそれぞれの視点によるため、統一性は少なく、それぞれのテーマは独立している。文章のやみやすさや、記述内容の深浅さも、ばらつきが大きい。