トムラウシ遭難考(10)-気象条件2010年06月30日

2009年7月16日、トムラウシ中高年ツアー登山の大量遭難があった。悪天候の中、次々と低体温症を発症し凍死した。今年の3月初めにトムラウシ山遭難事故調査報告書が公開されている(http://www.jfmga.com/pdf/tomuraushiyamareport.pdf)。
P80~P88に遭難発生時の気象について詳しく書かれている。ここでは、「聞き取り調査からの推測」「周辺気象官署観測値よりの推測」「大雪山・五色観測サイトにおける気象観測からの推測」が行われ、以下の結論を得ている。
7月16日のトムラウシ山の気象は、大雪山では例年起きている気象状況であり、決して特異な現象ではない。また、同様の気象状況は、北アルプスの稜線付近でも起きていることが確認された。』

札幌上空800hPaにおける気象データは、標高2000mに相当し、トムラウシの気象条件を推定するために便利であり、公開データはExcelに容易に取り込めるので、2008年7,8月と2009年7,8月の温度・風速をグラフにした。

下のグラフは、2008年、2009年の温度変化。トムラウシ遭難の時の温度を矢印で示している。前日よりもずいぶん低温ではあるが、決して特異な低温ではない。(画像をクリックすると拡大します。)

気温

下のグラフは、2008年、2009年の風速変化。トムラウシ遭難の時の風速を矢印で示している。かなりの強風であることが分かる。「ひと夏に数日しかないほどの強風」というのか、「ひと夏に数日程度はある」と考えるのか、人によりけりでしょう。なお、グラフには描かなかったが、秋から春にかけて、連日、さらに強風の日が続くことは珍しくない。(画像をクリックすると拡大します。)

風速

トムラウシの遭難は悪い気象条件で起こったことは確かだけれど、どの程度悪い気象条件だったのかということは、グラフをみると、だいたい推測がつくでしょう。

2009年7月、2008年7月の風速では、トムラウシ遭難が起こった2009年7月16日の風速はずいぶん大きかったように感じられる。しかし、年によっては、もっと風が強いこともあるので、トムラウシ遭難のときが特別に風が強かったわけではない。参考のために、2009年7月と2000年7月の札幌上空800hPa(2000m程度の高度に相当)の風速の比較図を記す。矢印のところがトムラウシ遭難当日を表している。

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